
腹痛・下痢・嘔吐がある
腹痛・下痢・嘔吐がある
こどもは消化器系が未熟で、感染や食事の影響を受けやすく、腹痛・下痢・嘔吐はよくみられる症状です。多くは軽症で自然に改善しますが、中には重大な病気が隠れていることもあるため、注意が必要です。
緑色(胆汁様)の嘔吐、お腹が張って苦しそう次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
概要
ウイルスが原因の胃腸炎で、冬季に流行しやすく、乳幼児〜学童に多く見られます。感染力が強く、家庭や園・学校で広がりやすい病気です。
原因
ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、サポウイルスなど
症状
突然の嘔吐(特に初期に多い)、水のような下痢、発熱(軽度〜中等度)、腹痛・食欲不振・全身のだるさ、脱水
診断
症状や流行状況から総合的に診断します。必要に応じて迅速検査(ロタ・アデノなど)を行います。
治療
水分補給、安静が大切です。整腸剤、制吐剤、解熱剤などを使用します。脱水が強い場合は、点滴治療を行います。
登園・登校
嘔吐・下痢が止まり、食事や水分がしっかりとれ、元気が戻って普段どおりの活動ができるようになれば可能です。
予防
手洗いの徹底、タオル共用を避けます。嘔吐物・便の処理は使い捨て手袋を使用し、塩素系消毒で清掃します。乳児はロタウイルスワクチンで重症化予防が期待できます。
概要
細菌が腸に感染して起こる腸炎です。高熱・腹痛・血便が出やすく、ウイルス性腸炎より症状が強い傾向があります。汚染された食べ物・水、十分に加熱していない肉や魚、動物との接触などで感染し、夏場・旅行・バーベキューなどをきっかけに発症しやすい病気です。
原因
カンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌(O157など)など
症状
発熱(38℃以上)、腹痛、下痢(水様~粘血便)、吐き気・嘔吐、食欲低下・元気がない
診断
問診と診察で診断します。必要に応じて便培養、血液検査、尿検査、腹部エコーを行います。
治療
水分補給と安静が基本です。整腸剤、解熱剤、制吐剤を使用します。細菌の種類により抗生剤の使用を検討します。重症時は点滴・入院が必要です。
登園・登校
下痢・発熱・嘔吐などの症状が治まり、元気が戻って食事・排泄が安定していることが大切です。病原性大腸菌(O157など)の場合は、便検査で陰性確認が必要になることがあります。
予防
十分な手洗い、食品の中心部まで加熱が大切です。動物と接触後は手洗いをしましょう。
概要
便秘症とは、便が硬くて出にくい・排便の回数が少ない・排便に苦痛がある状態が続くことをいいます。こどもの便秘はよくある症状ですが、長引くとおなかの痛みや食欲不振、トイレへの恐怖心などにつながることがあります。
原因
排便を我慢する習慣(遊びや学校でトイレをがまんする)、水分・食物繊維の不足、トイレトレーニングのストレス、生活リズムの乱れ、成長や環境の変化(離乳食・入園・入学などの変化)
症状
排便回数が週に2回以下または3日以上出ない、硬くて太い便、排便時に痛がる・泣く、便をがまんするしぐさ、おむつや下着に便が少しずつ付く(便失禁)、お腹の張り、食欲低下
診断
問診と診察で総合的に診断します。必要に応じて、腹部X線検査や血液検査を行うこともあります。
治療
①生活習慣の改善(毎日決まった時間にトイレに座る習慣をつける、水分と食物繊維を意識しバランスの良い食事をする、適度な運動・規則正しい睡眠と食事をする、できたことを褒める)②排便習慣の確立(便意をがまんしないよう声かけをする、痛みなく出せる状態を維持する)③薬による治療(必要に応じて便をやわらかくするお薬、艦長、坐薬を使用する)
概要
虫垂炎とは、盲腸の先にある「虫垂(ちゅうすい)」という小さな器官に炎症が起こる病気です。一般的には「盲腸(もうちょう)」と呼ばれることもあります。小児では学童期(およそ6歳以上)によくみられますが、まれに乳幼児にも起こることがあります。
症状
お腹の痛み、食欲不振、吐き気、嘔吐、発熱、便秘・下痢など
診断
症状の経過やお腹の診察から診断します。血液検査、腹部超音波検査、腹部CT検査を検討します。
治療
手術(虫垂切除術)が一般的ですが、症状の程度や病状によっては抗生物質による保存的治療を選択することもあります。
概要
腸重積とは、腸の一部が隣接する腸の中に入り込んでしまう病気で、主に乳幼児(生後6か月〜2歳ごろ)に多く見られます。突然お腹が痛くなり、放っておくと腸の血流が悪くなって壊死(組織の死)を起こすことがあるため、早期の診断と治療が非常に重要です。
症状
周期的に泣いて苦しがる、周期的に起きる腹痛、嘔吐、血便、ぐったりして元気がない、顔色が悪い、冷や汗をかく
診断
腹部超音波検査、X線検査、浣腸造影
治療
高圧浣腸、手術(高次病院に紹介)
概要
お子さんが「お腹が痛い」と訴えるとき、感染症や便秘などの身体的な原因だけでなく、ストレスや不安などの心理的な要因が関係していることもあります。このような腹痛は、検査をしても特に異常が見つからないことが多く、「機能性腹痛」や「心因性腹痛」と呼ばれます。
原因
学校や園での人間関係の悩み(いじめ、不安、緊張)、成績やプレッシャーへの不安、引っ越しや家族の変化(きょうだいの誕生、親の仕事の変化など)、親の期待や叱責への不安など
症状
慢性的にお腹が痛む(週に何回も)、痛む場所はおへそのまわりが多い、学校や登園前、テストや発表会の前に悪化しやすい、遊んでいるときや気がまぎれているときには痛みを感じにくい、熱や嘔吐、血便などの明らかな異常はない
診断
問診や診察で重大な病気がないことを確認したうえで、機能性腹痛と診断します。
治療
生活リズムの安定(十分な睡眠・朝食)、不安や緊張の原因を一緒に見つけ、取り除く努力、学校や園との連携による環境調整、症状が長引く場合は、小児心療内科や心理士のサポートを検討
概要
食物不耐症とは、ある特定の食べ物を摂取したときに、体がうまく消化・吸収できず、お腹の不調や全身症状が出る状態のことを指します。アレルギーとよく似た症状が出ることもありますが、免疫が関与しないという点で、食物アレルギーとは異なります。
例
乳糖不耐症、果糖不耐症、食品添加物(亜硫酸塩など)による不耐症
症状
腹痛、下痢、おならが多い、吐き気
診断
医師による問診と食事内容の確認が中心です。
治療
原因となる食品を一時的に除去したり、少量ずつ摂取したりして様子を見ることがあります。
概要
尿路感染症(にょうろかんせんしょう)とは、尿の通り道(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に細菌が感染して炎症を起こす病気です。特に小児では、症状がはっきりしないことも多く、発熱だけで見つかることもあるため注意が必要です。
原因
排尿のがまん、便秘、おむつの使用(不衛生な状態)、尿の通り道の異常(先天性の病気)
症状
排尿時の痛み、頻繁にトイレに行く、尿のにおいや色の変化、おねしょが増える、下腹部や背中の痛み、発熱
診断
尿検査、尿培養検査、血液検査、腎臓・膀胱の超音波検査
治療
抗生剤の内服または点滴(高次病院に紹介)
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