
咳・鼻水が出る
咳・鼻水が出る
咳(せき)は、ウイルスや細菌、ほこりなどから体を守るための大切な防御反応です。特に子どもは気道が未熟なため、大人よりも咳が出やすく、長引きやすい傾向があります。
問診のときに咳の様子をお知らせいただくと、診断がスムーズになります。
次のような場合は、すぐに受診しましょう。
概要
主にウイルスによる上気道感染で、多くは自然に軽快します。
症状
発熱、鼻水・鼻づまり、くしゃみ、咳、のどの痛み、食欲低下など(乳幼児は機嫌不良も)。
感染経路
咳やくしゃみの飛沫、鼻水や唾液が付いた手指・物品を介した接触で広がります。
診断
症状と診察で総合判断し、必要に応じてインフルエンザや新型コロナ等の迅速検査で鑑別します。
治療
水分・休養、解熱鎮痛薬や去痰薬などの対症療法が基本です。抗菌薬は原則不要で、細菌感染が疑われる場合に検討します。
登園・登校
出席停止の対象ではありません。発熱がなく全身状態が良ければ可能ですが、無理はせず休養を優先してください。
予防
手洗い、咳エチケット、換気・加湿、十分な睡眠と栄養。
概要
肺炎は、肺の奥にある肺胞に炎症が起きる病気です。子どもでは、かぜをきっかけに悪化して発熱や咳が強くなり、呼吸が速くなることがあります。
原因
ウイルス、細菌、真菌など
症状
高熱、強い咳、息が速い・浅い、ゼーゼーする、ぐったりする、食欲がない、機嫌が悪い、母乳・ミルクが飲めない、顔色が悪い、唇が紫っぽい(チアノーゼ)、胸がへこむ呼吸(陥没呼吸)
診断
診察、酸素濃度(SpO₂)測定、胸部X線、血液検査、ウイルスやマイコプラズマの迅速検査など
治療
重症な場合は、入院し治療を行う必要があります。その場合、入院可能な病院へ紹介いたします。
概要
気管支喘息は、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症があり、刺激に対して過敏になっている状態です。風邪・運動・季節や気温の変化・ダニやホコリ・花粉・たばこの煙などをきっかけに、咳が続く/ゼーゼー・ヒューヒューする/呼吸が苦しいといった症状が出ます。幼児(とくに5歳以下)に多く、成長とともに落ち着くこともありますが、繰り返す場合は計画的な管理が大切です。
症状
夜間や明け方に出る咳、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音、咳が長引く、風邪をひくたびに悪化する、呼吸が苦しそう、胸がへこむような呼吸、運動後や季節の変わり目に咳き込む
診断
問診(症状の出方、誘因、家族歴など)と診察(聴診)が基本です。アレルギー検査を参考にすることがあります。
発作の治療
気管支拡張薬の吸入を行います。重度の場合は、入院し治療を行う必要があります。その場合、入院可能な病院へ紹介いたします。
予防の治療
症状の頻度や重さに応じて、吸入ステロイド(ICS)を基本に、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)などを組み合わせます。
注意点
環境調整(こまめな掃除、まわりでタバコを吸わないなど)も大切です。
概要
クループは、声帯のまわり(喉頭)から気管の上部にかけての空気の通り道に炎症により一時的に狭くなる病気です。6ヶ月から3歳ごろの小さなお子さんに多く、夜間に突然、咳や呼吸困難を起こすことがあります。
原因
主な原因はウイルス感染です。
症状
犬が吠えるような咳(ケンケン)、声のかすれ、吸う息がゼーゼー・ヒューヒューと鳴る、呼吸が速い・苦しそう、発熱
診断
問診と聴診(呼吸音の確認)で診断します。
治療
ステロイドの単回投与、アドレナリン吸入を行います。重度の場合は入院が必要になる場合もあります。
概要
百日咳菌(Bordetella pertussis)という細菌が原因で起こる呼吸器感染症です。咳が何週間も続くことが特徴で、特に乳幼児では重症化しやすいため注意が必要です。
症状
① カタル期(1〜2週間):軽い風邪のような症状
② 痙咳期(2〜6週間):激しい連続した咳(コンコンコン…ヒュー)
③ 回復期(数週間〜):少しずつ咳が軽くなります。
診断
診察、鼻やのどの分泌液によるPCR検査・培養検査、血液による抗体検査など
治療
抗菌薬の治療が必要です。重症例や乳児は入院による治療が必要です。
登校・登園
抗菌薬開始後5日間が経過すれば可能です。
予防
ワクチンで予防が可能です。
概要
咽頭炎(いんとうえん)や扁桃炎(へんとうえん)は、のどや扁桃腺に炎症が起きる病気で、子どもの発熱やのどの痛みの原因としてよく見られます。
原因
ウイルス感染、細菌感染が主な原因です。
症状
のどの痛み、発熱、飲み込みにくい、食べたがらない、だるさ、頭痛、腹痛、嘔吐、声がかすれる、咳が出る
診断
診察により診断します。必要があれば、迅速検査、血液検査などを行います。
治療
ウイルス感染が原因ならば、症状を緩和する治療が中心です。細菌感染が原因ならば、抗菌薬の治療が必要です。
概要
鼻のまわりにある「副鼻腔」と呼ばれる空洞に炎症が起き、膿(うみ)がたまる病気です。かぜをきっかけに発症することが多く、子どもの長引く鼻水や咳の原因になることがあります。
原因
ウイルス感染、細菌感染、アレルギー性鼻炎、鼻の構造の異常
症状
黄色や緑色の鼻水が長引く、鼻づまり、咳が長引く(特に朝・夜)、頭痛や顔の痛み・重さ、口呼吸、いびき、声が鼻声、発熱を伴うこともあるが、高熱はまれ
診断
診察により診断します。
治療
対症療法、抗菌薬、点鼻ステロイドで治療します。長引く、繰り返す場合は、耳鼻咽喉科へ紹介いたします。
概要
異物誤飲(いぶつごいん)とは、食べ物以外のものを誤って飲み込んでしまう事故です。生後6か月〜2歳に多く、症状が軽く見えても危険な場合があります。
危険度が高いもの
ボタン電池、強力磁石(複数)、医薬品、たばこ・洗剤、鋭利な物(針・画びょう・ガラス片)
症状
むせ・せき込み、よだれ増加、飲み込みづらい、胸やのどの違和感、嘔吐・腹痛、息苦しさ。無症状のこともあります。
対応
何を飲んだか確認し、症状の有無を観察し、すぐに受診しましょう。苦しそうな場合は、救急車を呼びましょう。必要に応じX線や内視鏡で位置確認し摘出が必要です。
やってはいけない対応
無理に吐かせない、水や牛乳を飲ませない(医師に相談してから対応しましょう)
予防
誤飲しそうなものはお子さんの手の届かないようにしましょう。食品は年齢に応じて小さく切りましょう。お子さんが小さなうちは、食事中・遊び中は目を離さないようにしましょう。
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