アレルギー外来について

当院のアレルギー外来では、お子さまのアレルギーに関するお悩みを幅広く診療しています。小児期はアレルギーが現れやすく、症状の種類も多様です。ご家族の不安や疑問に寄り添いながら、正確な診断と丁寧な説明、適切な治療・予防指導を行ってまいります。

対象となる主な疾患

• 食物アレルギー（湿疹、じんましん、嘔吐、アナフィラキシー など）
• 気管支喘息
• アトピー性皮膚炎
• アレルギー性鼻炎・花粉症
• 薬剤アレルギー
• アナフィラキシーの既往があるお子さんの対応（エピペン処方など）

主な診療や検査

• アレルギー症状の評価・診断・処方
• 院内血液検査（ドロップスクリーン）
• 院外血液検査（TARC・Viewアレルギー39・シングルアレルゲン）
• スキンケア・環境整備の指導
• 喘息・鼻炎などの吸入薬や内服薬の処方
• 学校生活や食事制限に関するアドバイス
• エピペン処方・使用指導
• 食物経口負荷試験（専門機関に紹介）

疾患の説明

食物アレルギー

食物アレルギーとは、特定の食べ物を食べたときに、体の免疫が過剰に反応してじんましん、咳、腹痛、嘔吐などの症状が現れる状態です。多くの場合、食後すぐ（30分以内）に症状が出ることが多く、乳幼児期に初めて気づかれることが多いです。

よく見られる症状

• 皮ふの症状：じんましん、かゆみ、湿疹の悪化
• 呼吸の症状：咳、ゼーゼー、息苦しさ
• お腹の症状：嘔吐、下痢、腹痛
• まれに全身の強い反応（アナフィラキシー）を起こすこともあります

主な原因となる食べ物

お子さまによって原因は異なりますが、以下のような食品が多くみられます。

• 卵
• 牛乳
• 小麦
• 大豆
• ピーナッツ
• そば
• エビ・カニなど

検査と診断

治療と対応

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が繰り返し現れる、子どもに多い皮膚の病気です。肌のバリア機能が弱く、乾燥やアレルゲン（ダニ・ホコリ・花粉・食物など）に反応しやすいため、皮膚に炎症が起きやすくなります。多くは乳児期から発症し、年齢とともに症状が改善する場合もありますが、思春期や成人になっても症状が続くこともあります。

主な症状

• 強いかゆみ
• 乾燥肌
• 赤みや湿疹（顔、首、肘や膝の内側などに多い）
• 掻き壊しによる皮膚のごわつきや色素沈着

原因と悪化要因

アトピー性皮膚炎の原因には、遺伝的な体質や環境要因が関係しています。特に以下のようなことが悪化のきっかけになることがあります。

• 乾燥
• 汗や汚れ
• ストレス
• 食物やダニ・ハウスダストなどのアレルゲン
• 衣服や洗剤などの刺激

診断や検査

診断は、以下の点をもとに医師が総合的に判断します。

• かゆみがあること
• 湿疹の出る場所や形（顔、首、ひじ、ひざの裏など）
• 家族にアレルギー体質（喘息、鼻炎、アトピーなど）があるかどうか
• 繰り返し症状が出ること（乳児は2か月以上、乳児以外は6か月以上）

必要に応じて、次のような検査を行うことがあります。

治療とケア

アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う湿疹が繰り返し現れる皮膚の病気です。症状が強いと、日常生活や睡眠に影響することもあります。当院では、ご家族と相談しながら、お子さんの生活に合わせた、できるだけ負担の少ない治療を行います。

• 症状が落ち着いている時期も、継続的なスキンケアが再発予防につながります。
• デュピクセント（デュピルマブ）の使用を検討するような中等症〜重症は、皮膚科専門医へご紹介いたします。

気管支喘息

気管支喘息（きかんしぜんそく）は、気道（空気の通り道）に慢性的な炎症が起こることで、咳・喘鳴（ゼーゼー・ヒューヒューという音）・呼吸困難などの症状が繰り返し現れる病気です。小児期に多くみられ、日本では子どもの10人に1人がかかると言われています。

原因と誘因

気道が「過敏」な状態になっており、以下のようなさまざまな刺激が発作の引き金（誘因）になります。

• 風邪（ウイルス感染）
• ダニやハウスダスト、花粉、動物の毛などのアレルゲン
• 運動や笑い、泣いたあと
• 天気や気温の急激な変化
• タバコの煙など

気道が刺激を受けると、気道の内側が腫れ、痰が増え、筋肉が収縮して気道が狭くなるため、呼吸が苦しくなります。

主な症状

• せき（特に夜間や早朝に多い）
• ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音（喘鳴）
• 息苦しさ
• 胸の違和感や痛み
• 運動するとすぐに息切れするなど

診断

• 診察（聴診：胸の音を聴く）や問診が大切です。
• 呼吸機能検査（年齢に応じて）
• アレルギー検査（血液検査）
• 胸部X線検査（他の疾患の除外）

治療

治療の基本は「予防的治療（長期管理薬）」と「発作時の治療」の2本立てです。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、ハウスダスト（ほこり）やダニ、花粉などのアレルゲン（原因物質）に対して、体の免疫が過敏に反応してしまうことで起こる鼻の病気です。くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状で、長く続いたり、季節によって悪化したりすることがあります。

主な症状

• 繰り返すくしゃみ
• 水のような鼻水
• 鼻づまり（口呼吸やいびきの原因にもなります）
• 鼻をよくこする、目をかゆがる
• 集中力の低下、睡眠の質の低下など

原因

診断と検査

アレルギーの有無や原因を調べるために、以下のような検査を行うことがあります。

• 血液検査：原因となるアレルゲンを調べます
• 必要に応じて耳鼻科と連携し、詳しく調べることもあります

治療

症状や年齢に応じて、以下のような治療を行います。